「映画プリキュアオールスターズF」劇中挿入歌。
作詞:こだまさおり
作曲・編曲:森いづみ
歌:吉武千颯&磯部花凜/北川理恵/駒形友梨/Machico/宮本佳那子
(敬称略)
オールスターズ楽曲の集大成。この楽曲こそが「プリキュア」だ。
突き抜けるようなイントロの「For“F”」とは異なり、底から込み上げてくるようなイントロが我々の気持ちに火を付ける。始まりの10秒はさながら、熱く燃える導火線の様だ。
それを越えてしまったら、もうこの楽曲からは逃げられない。プリキュアを支えてきたシンガーたちの歌声が、文字通り爆炎の如く押し寄せる。そうなったらもう、飲み込まれる以外に道はない。
メロディの緩急がしっかりしていることも、この楽曲の重要な要素だ。一本調子にならず、ジェットコースターのような興奮を聴き手に味わわせてくれる。
リードボーカルが吉武千颯さんなのも見逃せない。彼女の実力はプリキュアファンなら誰もが知る所だが、今回の歌唱メンバーの中で唯一、彼女だけがOP主題歌を歌った経験が無い。
そのことは彼女の価値を些かも損なうものではないが、OP主題歌というプリキュアの「顔」とも言うべき部分で作品をリードしてきたシンガー達が、次世代のプリキュアを彼女に託す、という構図が何とも心憎いではないか。パート分けでもそれが表現されているので、その点にも注目して聴いてみて欲しい。
この楽曲では歌詞のリピートが行われておらず、そのために歌詞のストーリー性が色濃く打ち出されている。「For“F”」でもそうだったが、この楽曲においても、プリキュアの歩む一年が熱いメッセージで描かれている。
だがこの楽曲が何より強く伝えているのは、「未来」だ。
プリキュア達が戦うのは「未来」の為だ。自分の、友の、見知らぬ大勢の人たちの、可能性に溢れた明日を守るために彼女たちは戦い続ける。その姿が多くの子どもたちを、そして我々大人のファンを魅了し続けてきたのだ。
ラスサビにおいて刻みつける様に繰り返し紡がれるそのメッセージは、20年間変わらずプリキュアが伝えてきた物だ。様々なチャレンジを重ねてきたプリキュアだが、根幹にあるものは決して変わらない。
繰り返すが、この楽曲はオールスターズ映画の楽曲だ。そこに至るまでに積み上げられた歴史が、「プリキュア」という存在そのものが凝縮されている。ましてこの楽曲に込められたそれは、20年分の密度を持った重く強固な物だ。
オールスターズ映画は、決してファンだけの物ではない。プリキュアとは何なのか、プリキュアが何故戦い続けるのか、それを知る入口にもなり得るものだ。
オールスターズ楽曲も、それは同じ。プリキュアを知らない人にこそ、この楽曲を聴いてもらいたいのだ。そして、プリキュアの魂をその心に焼き付けて欲しい。
「プリキュア」が余すところなく詰め込まれた、史上最高の4分50秒。その時間を払う価値は充分ある。
魅力あふれる「プリキュア」の世界へ、踏み出そう、その一歩を!