「ふたりはプリキュア ボーカルアルバム2 Vocal Rainbow Storm!!~光になりたい~」収録曲。
作詞:六ツ見純代
作曲:小杉保夫
編曲:大石憲一郎
歌:五條真由美
(敬称略)
人は誰もがヒーローに、ヒロインになれる。
「ふたりはプリキュア」の出現は、子どもたちの心に大きな衝撃を与えたことだろう。女の子だって戦える、女の子だって、英雄になれるんだと。誰も想像していなかった様な世界を彼ら、彼女らに見せつけたのがプリキュアだったのだろう。
この楽曲は、そんなプリキュアの世界を象徴している楽曲の一つかもしれない。
はっきり言おう。少し前までなら、この楽曲が活躍するのは仮面ライダーやスーパー戦隊であったはずだ。嵐の如く勇壮に駆け抜けるメロディ、唸るエレキギター、五條真由美さんのしなやかでカッコイイ歌声、そしてハイスピードなメロディの中で描かれるスリリングな敵との駆け引き。歌詞で表現される彼女たちの強い決意は尊く、分厚い。聴いているだけで血が沸き立つ、そんな感覚が全身を駆け巡る激熱な歌だ。それは間違いなく、「男の子向け」の作品でこそ活きるものだっただろう。
それを敢えて、プリキュアという「女の子向け」アニメに持ってきた。そのこと自体が制作陣のメッセージであり、当たり前だった流れを変えるんだという断固たる決意のように思える。そのような楽曲が、「ふたりはプリキュア」には多い。
ヒーロー、ヒロインとしてのキュアブラック、キュアホワイトの姿を全面に押し出したこの楽曲は、女の子向けアニメの歴史に大きな一石を投じたはずだ。同時に、全ての女の子たちの光となったことだろう。彼女たち皆が思ったのではないだろうか。「わたしたちも、ヒーローになれるんだ」と。
「戦う女の子」は様々な女の子向け作品で描かれてきた。だが、それらの多くは魔法や超能力、不思議な力をベースにした戦い方だった。
プリキュアは徒手空拳、己の身をぶつけて戦うヒーローであり、ヒロインだ。それは転じて、特別な力などなくても、誰もが特別な存在になれるというメッセージではないだろうか。
楽曲の内容だけではなく、楽曲の存在そのものを通して作品のメッセージを伝える入り口となったこの楽曲は、数あるプリキュア楽曲の中でも「特別」であるように感じられる。
奇しくも今年の主役が目指す夢は「ヒーロー」。それはある意味、原点回帰と言えるものなのかもしれない。
20年前にこの楽曲が発したメッセージは、確かに「今」に届いているのだ。